インプラント治療 抜歯即時埋入 ソケットリフト 福岡市中央区薬院の患者さま
2017年12月5日
今回は、インプラント治療を行なった症例です。
写真中央の歯は、被せ物、土台が入っていない状態です。上に被せてあるピンク色の蓋で中に物が入り込むのを防いでいます。
横の歯をよく見ると被せ物の隙間から黒い虫歯になっています。
ほっぺた側から見ても、歯と被せ物の間に大きな隙間があるのが分かります。
今回は、ピンク色の蓋がしてある歯と、この被せ物があっていない歯の治療を行なっていきました。
ピンク色の蓋を外すと中はこの様になっていました。歯がいくつかの破片に割れてしまっています。
この様に割れてしまっていては歯として残し、被せ物をつけるといった治療は難しくなります。今回はこの歯を抜歯し、インプラント治療を行なっていきました。
すぐに抜歯は行わず、お口の中の型取りを行い、この歯を抜いた後どの様な形の歯が入るのが理想的か調べていきます。
理想的な形を決めると、そのためにはどの位置にインプラントを埋め込む必要があるか分かってきます。
下の写真にはマウスピースのようなものが写っています。抜歯予定の歯の部分に穴が空いています。この穴の位置が理想的な被せ物を作る上で必要なインプラントの位置となります。
歯の根っこの方向と理想的なインプラントの方向は違います。いきなり抜歯をすると、抜いてできた穴の方向にドリルが偏りがちになってしまうので、抜歯前にある程度理想的な方向に穴を空けておき、そこから抜歯を行います。そうすることで偏りを少なくすることができます。
抜歯を行いました。
歯の写真です。歯はいくつかの破片に割れていました。
今回治療前に撮影したCTの画像です。青い線で描かれているのがインプラントの根の部分(フィクスチャー)となります。フィクスチャーの先端は白い骨の部分を飛び出し黒いところまで達しています。
黒い部分は上顎洞と言われる空洞で副鼻腔の一つです。
ここには骨がないためそのままではフィクスチャーの先端の方は上顎洞へ飛び出してしまいます。そうすると感染や痛みの原因となってしまいます。
解決するにはフィクスチャーの長さを短くする、埋め込む方向を変えるなどありますが、今回はソケットリフトという方法を行なっていきました。
まずは理想的な方向に向かって少しずつ穴を掘り進めていきます。メモリがついた棒を穴の中に入れ、深さ方向の確認を行いながら進めます。
進めていくと骨がなくなり上顎洞が出てきます。上顎洞には薄い膜がはっています。そのまま掘り進めるとこの膜も破ってしまうため、ドリルを使い掘り進めるのではなく、骨の材料を少しずつこの穴に入れていき膜自体を浮かせていくのです。
歯を抜いた後のところに白いモヤモヤが写っています。これが骨の材料となります。
写真で見るとこの様になっています。大きな穴が空いているのは分かりますが中がどのくらい深くなっているのかなどは分かりません。レントゲン写真を撮影し確認するしかないのです。
フィクスチャーの長さ以上に膜を浮かせ、埋め込んでも上顎洞から飛び出さない様にしました。
実際にフィクスチャーを埋め込んでいきました。先端の部分を見るとドーム上に白い骨の材料が入っているのが分かります。この分膜を浮かせ治療したということになります。
この時の写真です。真ん中に入っているのが分かります。
抜いた部分の歯茎が被せ物を作成する上で理想的な形になる様にヒーリングアバットメントというカバーのネジを取り付けます。
傷が治るとこの様になります。
インプラントと周りの骨がガチッとくっつくまでに約三ヶ月かかります。その間に手前の歯の治療を進めていきました。
まずは被せ物、中の土台を外し虫歯をとっていきました。新しい土台の型取りを行い、取り付けをしていきます。
白い土台をつけていき、形を整えたところです。次に型取りを行う必要があるのですが、取り付けと形を整えたことにより周りの歯茎が一時的に荒れてしまっています。この状態ではしっかりとした型取りは行えないため、仮歯を取り付け歯茎が治るのを待ちます。
後日の写真です。荒れた歯茎は元どうりになっています。インプラントも骨とガチッとくっついているのが確認されたため型取りを行なっていきます。
ヒーリングアバットメントを外すと歯茎が綺麗な形を作っているのが分かります。型取りではこの歯茎の形をしっかりと記録することが大切です。手前の歯には歯の淵がはっきりわかる様に黒い糸を入れています。
型取りしてできた模型を元に作成した被せ物です。
手前の歯はガチッと固まるセメントで取り付けを行うのですが、インプラントの方はセメントを使わない方法で取り付けをしています。被せ物にも穴が空いていますが、その穴にネジを入れて固定しているのです。
歯の部分に穴が空いてしまうという欠点はありますが、何かトラブルが会った時にすぐに取り外しができるのが特徴です。
穴が空いたままではものが詰まってしまうため、蓋をしていきます。
この状態で生活してもらい、噛み合わなどの最終確認を行います。
今回は問題なかったため、仮の蓋を外しコンポジットレジンという樹脂の素材に置き換えます。
色や形も周りのところと調和する様にしているため、どこに穴が空いているか分からないくらいにまでなります。
最終的なレントゲン写真です。
インプラントはしっかりと骨にくっつき、被せ物にも段差などはありません。
インプラント治療
528000円(インプラントガイド、インプラント埋入手術、プロビジョナルレストレーション、オールセラミッククラウン)
デメリットとして、インプラントは清掃不良や噛み合わせの力が強くかかるとインプラント周囲炎を起こす可能性があり、インプラントとオールセラミッククラウンを固定しているスクリューが緩む可能性もある。
オールセラミッククラウン
費用 18万7千円(ファイバーコア、プロビジョナルレストレーション含む)
デメリットとして、他の歯が経年的に変色した際にセラミックは変色しないので色の差が出てくる可能性や、硬い材料なので噛み合う相手の歯が削れる可能性がある。