2014年06月26日
５０代女性の患者様です。
左上の前歯が欠けたという事で来院なさいました。
前歯は何度治療してもすぐ欠けるという事でした。
診査の結果、下の奥歯が残せる様な状態ではありませんでした。
その為、奥歯に力が入らず、奥歯にかかるはずの力がすべて前歯にかかっていました。
なので、治療してもすぐに前歯はダメになっていたのです。
根本的に解決するには奥歯でしっかり噛める歯が無ければなりません。
そこで、インプラント治療を提案しました。
入れ歯だと、本来噛む力の十分の一程の力でしか噛めません。
またこの方、長年しっかりしたかみ合わせが出来なかったため、本来の噛み合わせの位置が若干ずれています。
インプラント治療を行う際、理想的なかみ合わせも同時に作って行く必要があります。
という事で全体的な治療も行う事にしました。
虫歯の部分や歯の色が気になる部分も一緒に治療して行きます。
こちらは術前のレントゲン写真です。
全体が見れるパノラマレントゲン写真と１本１本詳しく見る事が出来るデンタルレントゲン写真を撮影してはじめて詳しい事が分かります。
治療中の写真です。仮歯を入れた状態でマウスピースを装着します。これで理想的なかみ合わせに近づけて行きます。
噛み合わせも安定し、最終的な歯を取り付けた所です。
歯がない所には歯が入り、どの歯が本物の歯かわからないくらいキレイになりました。
上の前歯はブリッジで対応してます。
右下に１本、左下に２本インプラントが入っています
治療前と比較していただくと、より自然な歯に近づいているのがお分かり頂けると思います。
白いだけが審美治療ではありません。
佐伯歯科クリニックでの審美治療は、顔貌、口唇、歯のバランス等、トータルでの調和を目指しております。
患者様には口元が上品になり、大変喜んで頂きました。
患者様の人生にプラスになれたかなと思うと、とても嬉しい気持ちになります。
2014年06月26日
虫歯で、痛みを訴えてあった方です。
お口の中はこんな状態です。以前歯科を受診し、治療途中の状態でした。
仮の詰め物が入っています。
詰め物を取ってみるとこのような状態です。かなり深い虫歯があるみたいです。
ラバーダムシートをかけて慎重に虫歯を取っていきます。
虫歯を全部取ると神経が露出しています。
通常このような状態ですと、神経を取って銀歯の治療が行われます。
しかし、神経の治療を行うと様々な問題があるため（後にご説明します）神経を残す事にしました。
消毒を丁寧に行い、完全に止血したのを確認後、お薬で蓋をします。
その後、コンポジットレジンを用いてダイレクトボンディングを行っていきます。
これで、治療を終えました。
治療後２、３日ズンとする痛みを感じてありましたが、数ヶ月たった今では何の違和感もありません。
電気歯髄診という機械で神経が正常か調べてみても全く問題ありません。
特にこのまま経過を観察していっても問題は出てこないでしょう。
ここからは私が感じている事をお話ししたいと思います。
日常的に歯科医院では神経を取る治療が頻繁に行われています。
歯科医院によっては、根管治療（神経の治療）のお薬換えが主な治療内容だったりします。
しかし、こんなに沢山の神経の治療が行われている現状は正常なのでしょうか。
私が感じるに、神経を守るという意識が日本の歯科医院ではかなり希薄だと思います。
理由はこのように考えます。
痛いと訴えて歯科医院に来られた方はとにかく痛みを取って欲しいと言います。
それは、当然です。痛みは取る必要があります。
その中で最も簡単な方法が神経を取る治療なのです。
神経を取ると、歯の感覚がなくなり痛みは収まります。
そして、その後の差し歯などの治療を進めていく間も全く痛みなく進めていく事が出来ます。
本来であれば、慎重に治療を進めるべきところも大雑把に治療を進める事が出来るようになります。
歯科医院側、患者さん側にとって一見楽です。
どちら側にもメリットがあるので安易に神経の治療が進められるのでしょう。
しかし、本来あるべき神経がなくなってしまうのです。
今後、その代償を今後背負っていかなければなりません。
神経がなくなった具体的な代償はなんでしょう。
まず、その歯の神経を取ってしまう訳ですから、血液、栄養の供給が全くなくなってしまいます。
そのことにより、極端に歯が脆くなってしまうのです。
ちょうど生木と枯れ木の関係と考えていいでしょう。枯れ木の方がもちろん折れやすいですよね。
歯も同じで、歯がわれてしまうのです。その際は抜歯が必要になります。
１本歯がなくなるとインプラントを含めた治療を考える必要が出てきます。
そこからの治療はまた大変です。
また、歯がわれなくても、歯がズキズキ痛む事が多くなります。
神経を取ってしまうとその歯はもう二度と痛まないと思う方もおられるでしょう。
実は、そうではないのです。
本来、神経の治療もとても精密に進めていかなければなりません。
しかし、日本の保険制度の中では十分に精密に治療するのはなかなか困難です。
他の先進国との治療費に約１０倍の差があるため十分に時間をかける事が難しいのです。
そんな中、不幸にもあまり良質でない治療が行われた場合、以下の事が起こることがあります。
・強く噛むと何か違和感がある。
・体調次第で痛みが出てくる。
・歯ぐきに口内炎の様な物が出来ている。
これらが進むと根っこの先に大きな膿の固まりができます。
それがヒドくなると、顔半分がひどく腫れ上がることも出てきます。
こういった事がすべてではありませんが、不必要に神経の治療を行うのは如何なものかと思います。
人類はとてつもなく長い時間を経て今の姿になっています。
人間の体で不要な物などそうないのではないでしょうか。
元々、生体が持っている物は極力残す事が重要です。
科学はそこまで万能ではありません。
今後はM.I.という概念がとても重要です。
M.I.とはミニマルインターベンションの略で
歯の治療において、歯や神経への犠牲を最小限に抑え、本当に悪い箇所だけを取り除く治療法です。
世界ではこの概念が大きく浸透しています。
残念ながら日本ではまだまだオーバートリートメント（過剰に治療をする事）が横行しています。
当院では出来るだけ小さな治療介入で歯を長持ちさせ、お口の健康を長らく保つ事を願っています。
ダイレクトボンディング
費用５万５千円
リスクとして欠ける可能性がある（修復可能）。
