古くなった前歯をやりかえる。ジルコニアオールセラミックを作るときの工程 福岡市・中央区
2016年02月9日
20年ほど前に陶器の歯を入れた患者さんを治療して、オールセラミックが入った状態です。
治療前からどの様な工程を経て最終的なオールセラミックを取り付けていくのかをお話します。
まず、初診の状態です。前歯が古くなって差し歯の周りも歯茎が赤く腫れており健康に悪影響を与えています。
この方は、このままの状態では良くなく治療の必要が有ります。
治療を始める際、いきなり歯を削って治療していくわけではありません。
まず、この方にとって『どの様な歯並び、噛み合わせが最適であるのか』ということを調べる必要があります。
そのため、以下の写真のような診断用ワックスアップという、建築物でいうと設計図のようなものを作成します。
これを患者さんに見てもらい『だいたいこの様な歯の形、並びになりますよ』ということをお話します。
患者さんの『もう少し引っ込めてほしい!』や『もっと大きい方がいい!』というご希望と合わせて目標を決めていきます。
だいたいの目標ができてはじめて歯を削ります。
それは削った後に、『こんなはずじゃなかった・・・』ということを避けるためです。
この様な事前の審査をしておくことは、歯科治療を進める上で非常に重要です。
前記した検査を行い、はじめて歯を削ります。
歯を削った際は、事前に仮歯を作っておき、確実にその日に仮歯を取り付けます。
この仮歯は応急的なものでしかありません。
あくまでも、見た目の回復というものです。
その仮歯を使っていてもらう間に、こちらでは別の工程を進めておきます。
歯をはずした際、型取りをしておき、石膏の模型を作成します。
その模型上で、最終的な歯がどの様な状態になれば良いかを精密に計算し、最終イメージを形作っていきます。
これは本当に繊細で、前後左右に顎を動かしたときに一番効率良く噛む様に形を作ったり、歯に変な方向からの力がかからない様に注意しながら作っていきます。
この診断用ワックスアップをそのままコピーした仮歯を作ります。
この仮歯のことを、プロビジョナルレストレーションと言います。
実際にお口の中に取り付けます。
しばらく様子を見てもらい、見た目、噛み心地ともに全く問題ないか確認します。
その上で、最終型取りを行います。
これは、シリコン印象という最も精密な型取りです。その際二重圧排操作を行い、完全に隙間がない差し歯を作る準備をしていきます。
シリコン印象後の模型です。歯と歯茎の境目がはっきり確認できます。
模型上で、ジルコニアのオールセラミックを製作していきます。
そして初めてお口の中にオールセラミッククラウンが入ります。様々な工程を経ていますので、取り付ける日はほぼ調整する必要はありません。
また、仮歯で問題がないことが確認できているので、今後トラブルが起きる可能性は極めて少なくなります。
前歯はその方のイメージを確立するのにとても重要です。前歯が少し違和感があるだけで、どうしても清潔感がなくなってしまったりします
とても大事な前歯です。生涯、満足いただける様な治療を提供しております。
オールセラミッククラウン
費用 18万7千円×6(ファイバーコア、プロビジョナルレストレーション含む)
デメリットとして、他の歯が経年的に変色した際にセラミックは変色しないので色の差が出てくる可能性や、硬い材料なので噛み合う相手の歯が削れる可能性がある。