虫歯が神経に届いて細菌感染していたが、MTAセメントを使用し神経を取らずに残した症例 福岡市博多区の患者様
2020年12月23日
虫歯が神経まで届いてしまった場合、たいていの場合は神経を取らないといけません。
そのままにしておくと、神経自体がばい菌に侵されてしまって神経が腐ってしまうからです。
ですが、条件によっては虫歯が深くても神経を残せる可能性があります。
この患者様は右下の詰め物が外れたから見て欲しい、という理由で来院されました。
銀の詰め物が外れてしまったあと、放置していたせいで中で虫歯が進んでしまっていました。
虫歯の部分を削ってみると虫歯が広範囲に及んでいる事がわかります。
虫歯が神経近くに及んでいたため、ラバーダムというゴムのマスクをして治療を行います。
唾液の中に多くの細菌が含まれているので、唾液が神経に触れて感染してしまわないようにするためです。
虫歯の部分を削っていくと小さい穴が空き、出血してきました。
この穴は神経の入り口になっており、この時点でただ穴を埋めてしまうと神経を残す事が極めて難しくなってしまいます。
出血部分を十分に止血し、消毒した後にMTAセメントという歯科材料でふたをします。
MTAセメントが効果を発揮する事で神経を残す事ができるのです。
MTAセメントの上からプラスチックでふたをしたところです。
MTAセメントは固まるまで時間がかかるため、一旦仮のふたをし、固まったところで綺麗にふたをします。
後日、白いMTAセメントが固まったことを確認して歯の形を整えていきます。
ここでもラバーダムをすることでより綺麗に詰め物を詰めることができます。
最終的な形がこちらです。
治療前と比べて見た目も良くなり、食事も問題なくできています。
今回ご紹介したMTAセメントは人体への影響が少なく、生体にやさしい材料となっています。
虫歯が深くても神経を残すことができるとして近年歯科業界でも注目されています。
MTAセメントを用いた治療をご希望の方はご気軽にスタッフまでお問い合わせください。
歯にとって神経とは、血液や栄養を送る管の役割をしています。
もし神経をとってしまうとその歯に血液が行き渡らなくなってしまうので、
歯の寿命を短くしてしまいます。
すぐに抜歯になるということではありませんが、単純に比較して神経を取った歯と取っていない歯では
神経がない歯の方が抜歯になる可能性が7.4倍高くなってしまいます。
自分の歯を長持ちさせるためにも、MTAセメントを用いた治療をお勧めいたします。
※MTAセメントは健康保険の範囲外での処置となりますのでご了承ください。
ちなみに術後半年後の写真です。
あれだけ深い虫歯でしたが、現在のところ問題は出ておりません。
ダイレクトボンディング
費用5万5千円
リスクとして欠ける可能性がある(修復可能)。