全顎治療(フルマウス)虫歯で失った歯をインプラント、歯周形成外科にて審美的、機能的に回復
2019年11月27日
長い間、歯科医院に行っても満足のいくお口の中にならなかったという患者さんです。
頑張って治療していただき下の左の写真から右の写真の様に回復しました。
初めて来院したときのお口の中の写真です。
仮歯が入っていましたが、仮歯を外すと右の写真の様な状態です。
お口の中全体の写真とレントゲン写真ですが、全体的に悪くなっており、前歯だけの治療で回復するというわけではありません。
トータルのことを考えて治療しなければなりません。
そこで、この方は骨格等から診査診断をしていく必要があるため、矯正治療用のレントゲン写真を撮影して、どの様なお口の中になるのが良いのかを模索していきます。
色んな診査から以下の様な歯茎のラインになるのがこの方にとってベストと判断しました。
歯の形をシミュレーションしたところです。
患者さんに見てもらい、この様な歯にする旨を伝え、納得いただき治療を進めていきます。
実際の模型上に歯を作り(診断用ワックスアップ)、三次元的に問題ないかを確認します。
上下の歯の並びも問題なさそうです。
上下の歯並びもシミュレーションします。
治療の計画ができました。
上の歯は5本のインプラント、下は3本のインプラントを治療することにし、残りの歯はセラミックスをかぶせる予定とします。
歯茎が薄かったり、歯茎に不揃いな箇所があるので、そこは結合組織移植術(CTG)という方法で歯茎の量を増やすこととしました。
まず、インプラント治療を行う準備を進めていきます。
先ほどの診断用ワックスアップからインプラント用のサージカルステントを作り、この状態でレントゲンCTを撮影します。
そこから、シミュレーションソフトを使用してインプラント埋入位置を決定していきます。
(現在では、当院では100%ガイデッドサージェリーにて治療しています。)
シミュレーション後、前歯はとても骨が薄かったので、リッジエキスパンジョンテクニックを使って、大規模な外科処置を行うことなく、必要最小限の少ない侵襲にてインプラント治療を行っております。
上の奥歯は上顎洞(副鼻腔)までの距離が近かったので、サイナスリフトという方法にて、上顎洞内に骨を増やしインプラント治療を行なっています。
これも、体に対するダメージの非常に少ない方法です。
インプラント治療は順調にいきましたので、当初予定していた歯茎を増やす治療をしていきます。
このテクニックを行えるかどうかで、治療の成績が大きく違ってきます。
結合組織移植術(CTG)と歯肉弁根尖側移動術(クラウンレングスニング)を同時に行いました。
なるべく患者さんへの痛みが少ない方法で行なっていきます。
何回も仮歯を交換して、徐々に患者さんが満足するお口の中になってきました。
左から初診、インプラント後、歯周外科後のプロビジョナルレストレーション(仮歯)です。
ファイナルプロビジョナルレストレーション(最終的な仮歯)をしばらく使用してもらいます。
左右から見ても問題ありません。
噛み合わせも順調です。
仮歯を外したところです。
インプラントの周りや歯が欠損しているところに、移植した歯ぐきがちゃんとボリュームを出してくれています。
インプラントの周りに炎症もありません。
インプラントの方向に制限があったので、アバットメントは薄く作ることのできるチタンアバットメントを使用しています。
チタンアバットメントの周りに2ミリ以上の歯茎があれば、チタンの金属色は見えないと論文で証明されているので、見た目に問題は出ません。
そのインプラントの上にかぶせる歯です。
歯がないところはオベイトポンティックという、あたかも歯がある様に見える形で作ってます。
他のセラミックスです。
この場合は同時に全てのセラミックスを作成して、理想的な歯の形を作りました。
セラミックスを全て取り付けたところです。
本物の歯とほぼ見分けがつきません。
患者さんは非常に満足されました。
少しお口を開けたところです。
下の歯並びもしっかり整っています。
上の歯の色と区別は全くつきません。
左右から見たところでも、しっかりした歯ぐきに覆われ安定した噛み合わせを作ることができています。
少し左右に動かしたところですが、犬歯のみが当たり他の歯は当たらない『犬歯誘導』という理想的な噛み合わせです。
上下の噛み合わせの写真です。
もともと歯があった状況とほぼ変わらない歯を作ることができました。
数十歳若返ったと言っても過言ではありません。
治療前はお食事がストレスでしたが、今では硬いものでも何でも食べることができます。
本当に治療してよかったと、患者さんはおっしゃっています。
レントゲン写真です。
当初予定していた、治療計画どおりに治療を進めることができました。
現在では、定期的にメインテナンスに通われていて、とても良い状態を保てています。
インプラントとオールセラミッククラウンを用いた治療
費用 187000円×12(ファイバーコア、プロビジョナルレストレーション、オールセラミッククラウン)528000円×8(インプラントガイド、インプラント埋入手術、プロビジョナルレストレーション、オールセラミッククラウン)
デメリットとして、インプラントは清掃不良や噛み合わせの力が強くかかるとインプラント周囲炎を起こす可能性があり、インプラントとオールセラミッククラウンを固定しているスクリューが緩む可能性もある。オールセラミッククラウンは、他の歯が経年的に変色した際にセラミックは変色しないので色の差が出てくる可能性や、硬い材料なので噛み合う相手の歯が削れる可能性がある。