2021年04月28日
歯が突然痛み出したとき、
実は虫歯がすでに神経まで
届いてしまっているかもしれません。
今回は、今まで何の症状もなかった歯が
急にうずき出したという方の歯の治療の話です。
写真を見ていただいても
虫歯がすごく進んでいるようには見えません。
歯と歯の間から虫歯が進行しており、
レントゲン写真では深くまで虫歯が確認できました。
麻酔をして、歯をできるだけ削らないように
注意して虫歯を取っていっても
虫歯は深く神経まで届いていました。
残念ながら、神経を残すことは難しいと判断しました。
ラバーダム防湿下で根管治療を行います。
その後に、コンポジットレジンによる
ダイレクトボンディングを行います。
術後は天然の歯とほぼ変わらない
見た目です。
歯を極力削らないことが
歯を長持ちさせる秘訣です。
ダイレクトボンディング
費用6万6千円
リスクとして欠ける可能性がある(修復可能)。
2021年04月7日
歯を失う原因の3割が虫歯と言われています。
ある程度の虫歯なら
詰め物を詰めたり、
被せ物をしたり
神経の治療をすることで
残すことはできますが、
虫歯が進行するにつれて
歯を残せる可能性が低くなっていきます。
図は虫歯の進行の具合をステージごとに
解説したものです。
一番下はステージ4となり、
虫歯が歯ぐきの下まで及んでおり、
保存不可能と診断されます。
たとえ無理やり被せ物を被せたとしても、
将来的に土台ごと外れてくる可能性が高いです。
わかりやすく家づくりに例えてみましょう。
ステージ4の状態は
家でいうと土地自体の地盤が柔らかく
土台が安定しない状態です。
土台が安定しないということは
土台の上にある家も安定しない
ということになってきます。
安定した家を建てるためには
まず、地質を調査し、
土台を整備していく必要があります。
今回は通常なら抜歯となる歯を、
どのようにして残していくかを
症例を交えてご紹介していきたいと思います。
下の写真は虫歯によって
歯の大部分がなくなってしまいました。
このような状態だと
しっかりとした土台をたてることができず、
被せ物を被せることが難しくなってしまいます。
自分の歯がある程度無いと
しっかりとした土台が立てられません。
そのためには歯を引っ張り出して
歯ぐきより上の位置へ
持ってくる必要があります。
模型の上で
歯を引っ張りあげる装置を製作します。
実際に口の中に入れて調整します。
急に強い力が歯に加わると歯が折れたり、
抜けたりする恐れがあるため
じっくりと弱い力を歯に加えます。
左が歯を引っ張りだす前、
右が引っ張り出して一ヶ月後です。
わずかな違いですが
右のほうが歯ぐきの上に歯が出てきています。
そのあと歯ぐきの位置を下げる手術を行い、
土台を立てるために十分な歯の量を確保します。
土台をたてた後は型取りをして、
被せ物を作っていきます。
しっかりとした土台を立てることで
上の被せ物も良い状態で
被せることができました。
いかがだったでしょうか?
他の歯医者さんで
抜歯と言われた歯も残せる可能性があるのです。
できるだけ歯を抜きたくない、
自分の歯を残したい、
と思うのは全ての患者様の願いだと思います。
自分の歯を長持ちさせたいという方は
いつでもお問い合わせください。
※今回紹介した手法は保険適用外の方法です。
オールセラミッククラウン
費用 18万7千円×2(ファイバーコア、プロビジョナルレストレーション含む)
デメリットとして、他の歯が経年的に変色した際にセラミックは変色しないので色の差が出てくる可能性や、硬い材料なので噛み合う相手の歯が削れる可能性がある。
矯正的挺出(エクストルージョン)
費用 3万3千円×2本
骨に埋まっている歯根部が短くなるというデメリットがある。
クラウンレングスニング
費用 3万3千円×2本
外科的な処置が必要
2021年02月20日
皆さんは、歯の色に困ったことはありませんか?
一般的なホワイトニングでは
神経のある歯は白くなりますが、
神経の無い歯は効果が発揮されないと
言われています。
今回、神経の無い歯の色を白くする方法
(ウォーキングブリーチ法)について
簡単に説明していきます。
上の写真は治療前と治療後の写真です。
歯の大部分が白くなっていることがわかります。
方法としては、対象の歯の裏側に穴を開け、
薬剤を流し込み、それを2〜3週間毎に一回、
それを約2、3回程度繰り返します。
歯の裏側に薬剤を詰めている様子です。
歯が白くなったら裏から白い材料で蓋をします。
神経が無い歯でもホワイトニングが可能という
ウォーキングブリーチ法ですが、
注意点もいくつか存在します。
1)白さが一生持続することはありません。
→喫煙習慣や着色料の多い食事を
頻繁に行ったりすると
歯は再び変色してくることがあります。
2)治療中に痛みを感じる可能性があります。
→使用する薬剤から発生するガスにより、
根っこや歯を支える顎骨に圧がかかると、
痛みを生じることがあります。
3)適用不可の場合があります。
→神経を失った歯は神経のある歯に
比べて割れたり欠けたりする可能性が
高くなります。
ウォーキングブリーチの薬剤による
圧に耐えられなさそうな歯である場合は、
施術できません。
※ウォーキングブリーチによって
得られる効果には個人差があり、
どのような白さになるかは歯の状態や
質、継続期間などによって左右されます。
ウォーキングブリーチの良い点として、
自分の歯を大きく削らずに
歯を白くできるという点があります。
もし歯の変色にお悩みの方は
当院スタッフまでご気軽にご相談ください。
ウォーキングブリーチ
費用 6万6千円
デメリットとして若干の色の後戻りが起こる可能性がある。
2020年12月23日
虫歯が神経まで届いてしまった場合、たいていの場合は神経を取らないといけません。
そのままにしておくと、神経自体がばい菌に侵されてしまって神経が腐ってしまうからです。
ですが、条件によっては虫歯が深くても神経を残せる可能性があります。
この患者様は右下の詰め物が外れたから見て欲しい、という理由で来院されました。
銀の詰め物が外れてしまったあと、放置していたせいで中で虫歯が進んでしまっていました。
虫歯の部分を削ってみると虫歯が広範囲に及んでいる事がわかります。
虫歯が神経近くに及んでいたため、ラバーダムというゴムのマスクをして治療を行います。
唾液の中に多くの細菌が含まれているので、唾液が神経に触れて感染してしまわないようにするためです。
虫歯の部分を削っていくと小さい穴が空き、出血してきました。
この穴は神経の入り口になっており、この時点でただ穴を埋めてしまうと神経を残す事が極めて難しくなってしまいます。
出血部分を十分に止血し、消毒した後にMTAセメントという歯科材料でふたをします。
MTAセメントが効果を発揮する事で神経を残す事ができるのです。
MTAセメントの上からプラスチックでふたをしたところです。
MTAセメントは固まるまで時間がかかるため、一旦仮のふたをし、固まったところで綺麗にふたをします。
後日、白いMTAセメントが固まったことを確認して歯の形を整えていきます。
ここでもラバーダムをすることでより綺麗に詰め物を詰めることができます。
最終的な形がこちらです。
治療前と比べて見た目も良くなり、食事も問題なくできています。
今回ご紹介したMTAセメントは人体への影響が少なく、生体にやさしい材料となっています。
虫歯が深くても神経を残すことができるとして近年歯科業界でも注目されています。
MTAセメントを用いた治療をご希望の方はご気軽にスタッフまでお問い合わせください。
歯にとって神経とは、血液や栄養を送る管の役割をしています。
もし神経をとってしまうとその歯に血液が行き渡らなくなってしまうので、
歯の寿命を短くしてしまいます。
すぐに抜歯になるということではありませんが、単純に比較して神経を取った歯と取っていない歯では
神経がない歯の方が抜歯になる可能性が7.4倍高くなってしまいます。
自分の歯を長持ちさせるためにも、MTAセメントを用いた治療をお勧めいたします。
※MTAセメントは健康保険の範囲外での処置となりますのでご了承ください。
ちなみに術後半年後の写真です。
あれだけ深い虫歯でしたが、現在のところ問題は出ておりません。
ダイレクトボンディング
費用5万5千円
リスクとして欠ける可能性がある(修復可能)。
2020年01月14日
奥の歯に最近ずっと違和感があるという患者様です。
銀歯で治療がなされていますが、中で虫歯が進んでいる様です。
早急な治療が必要です。
ラバーダムシートをかけて銀歯を外していきました。
銀歯の下に白いお薬が詰めてあります。
白いお薬を取っていくとお薬の下は虫歯になっていました。
茶色に見えるのが虫歯です。
虫歯は神経まで及んでいました。
虫歯を取り除くと神経が露出しています。
神経が露出すると出血します。
更に虫歯を取っていくと、神経の入り口くらいまで細菌感染していました。
ピントが合ってませんが、拡大したところです。
消毒を繰り返し、出血が止まったのを確認してスーパーボンドという歯科用の接着剤で露出した神経を封鎖します。
この日は、この上に仮の蓋をし、治療を終了します。後日、痛みがないのを確認して最終的な歯の形を作ります。
2週間ほど期間を置きました。
初めは少し痛みを感じていたが、今は全く痛み・違和感を感じなくったとのことで、最終的な歯を作っていく事にします。
当院でいつも行なっているダイレクトボンディングです。
ラバーダムをかけ、歯を作る準備をします。
隣接面の歯の形になる様に、セロファンの膜をリングとウェッジで固定します。
そしてコンポジットレジンを少しずつ充填していきます。
歯の形ができました。
ラバーダムシートを外して、噛み合わせを確認し、綺麗に磨くと天然の歯とあまり見分けが付かなくなりました。
今でも何の違和感もなく歯を使ってらっしゃいます。
ダイレクトボンディング
費用6万6千円
リスクとして欠ける可能性がある(修復可能)。
2019年12月26日
『モリタ』という歯科業界最大の会社の本に掲載されました。
『フュージョンウェッジをラインナップ より精度の高い歯牙形態を再現する 3D マトリックスシステム』という題目です。
歯と歯の間の虫歯を確実に最小限の削除量で治療する方法です。
上の写真は見にくいと思いますのでこちらのPDFだと拡大して見ることができます。
026_FR_compoji_saeki1221
2019年11月25日
歯が短いことを改善してほしいと来院した患者さんです。
結果的に以下の様に短い歯が、長くなり理想的なお口の状態になっています。
この様な複雑な問題を抱えている患者さんを治療して改善するのは中々難しいのですが、
どの様に治療を行なったのか簡単にご説明していきます。
まず、初めは引き締まった歯茎にならなくては治療に進めないので
お口の清掃ができる様になる為、歯磨き指導と歯周病の治療をしていきます。
その後、虫歯の治療を行い、プロビジョナルレストレーションという仮歯に全体の歯を変えていきます。
この方は、このまま治療してもいい結果は生まれないので、矯正治療を行います。
セットアップ模型という治療の設計図を作り、ワイヤーにて矯正治療を始めていきます。
下は矯正治療の前後です。
しかし、矯正治療だけでは、『歯が短い』ことは解決できず、歯周外科という方法で、
歯茎を切開して歯を長くする方法を行いました。
その際にも、術後の設計図が必要です。
最終的に以下の様なお口の中になる事が診断用ワックスアップを作る事で分かりました。
ここから、歯周外科を行なっていきます。
診断用ワックスアップから、歯周外科の目安となる装置を作ってそれを元に歯周外科(クラウンレングスニング)を行います。
以下がその写真です。
歯周外科を行なって、数ヶ月すると歯茎が健康になります。
その後に、歯肉圧排糸を使用して、シリコン印象材にてとても精密な型取りをしていきます。
その後、セラミックスを装着していきますが、今回前歯はe-maxというセラミックスで治療しています。
奥歯はジルコニアという素材のセラミックスを用いて治療しています。
治療前に想定していた歯並び、歯の長さ、形、色を作る事ができました。
ほとんど本物の歯と見分けがつかないくらい、リアルなセラミックスがお口の中に入っています。
患者さんにとても喜んでいただきました。
矯正とクラウンレングスニングおよびオールセラミッククラウン、ダイレクトボンディング
費用 990000円(矯正)33000円×6(クラウンレングスニング)187000円×13(ファイバーコア、プロビジョナルレストレーション、オールセラミッククラウン)66000円×6(ダイレクトボンディング)
デメリットとして矯正は想定通り歯が動かない可能性、術後に後戻りする可能性がある。オールセラミッククラウンは、他の歯が経年的に変色した際にセラミックは変色しないので色の差が出てくる可能性や、硬い材料なので噛み合う相手の歯が削れる可能性がある。ダイレクトボンディングは歯に比べて硬度が低く破折の可能性(ただし、修復可能)や若干の変色の可能性が考えられる。